アメリカの第１６代の大統領だったリンカーンの生家に行きました。リンカーンは正式にはエイブラハム・リンカーンといい、ケンタッキー州出身です。シンキング・スプリングという農場で生まれたそうです。その丸太小屋ともいえるような生家を見てきました。
　リンカーンの名前は彼の祖父から受け継いだもので、祖父であるエイブラハム・リンカーンはインディアンに殺されています。
 
　「人民の、人民による、人民のための政治」という有名な言葉はリンカーンの語録として確か中学校の頃に習いました。今の日本では、この言葉の実感があるのでしょうか。学生である私であっても憂うことが最近多々あります。
 
　私がアメリカに留学することは随分前から決めていました。自分の成績などによりオファーがもらえるのですが、私の場合７つの大学からお誘いを頂けました。そこから自分にあった学校を選ぶのですが、実は私は、大学を選ぶ段階で震災に遭いました。自宅の被害がひどかったのと放射能の被害の見当がつかないことなどで一時避難をしていました。そんな中で学校を決めたのですが、この学校の決め手の一つとなったのは、災害の少ない州にある事でした。アメリカでは3月から５月は竜巻の季節です。竜巻が発生しやすいのはアメリカの中部で、テキサスやカンザス、ミネソタ州などが挙げられます。竜巻で家が飛ばされるところからお話が始まる“オズの魔法使い”の舞台はたしかカンザス州でした。
　アメリカに行くに当たっては、福島県から行くという事でとても気を遣いました。「汚染されていると嫌がられるのではないか」とか「福島と言ったとたんにデリケートに扱われすぎるのではないか」とか。実際に行ってみると全くと言っていいほど拍子抜け。学校の先生と、かかった医者に「福島出身？家は海から近い？今は大丈夫なの？」と声をかけられただけでみんなの関心はそれほどでありませんでした。
　ここはケンタッキー、日本の東北・関東地方がすっぽりと入ってしまうほどの面積が一州にあるのです。隣の州で竜巻があり町がすっかりなくなるような出来事もありましたが、何を考えるにもまず、広いという事抜きには始まりません。日本とはいろんな意味で違います。