直木賞作家でタレントの志茂田景樹さんの読み聞かせ・講演会が27日、郡山市中央図書館で開かれ、物語や詩の持つ力と、読み聞かせの素晴らしさを語った。
　郡山市子ども読書活動推進事業の一環として開かれ、家族連れら約２００人が訪れた。同図書館、郡山市教育振興会「水と緑のまち読書ネット」の主催。
　読み聞かせでは、ステージ上の大型スクリーンにスライドで絵本を映し出し、志茂田さんが自身の作品「まんねんくじら」「ぽんちとちりん」「ちいさなちいさなぞうのひみつ」の３冊を、身振り手振りで読み上げた。
　訪れた人たちは、大人も子どもも物語の世界に浸って志茂田さんの語りに耳を傾け、楽しいひと時を過ごした。
　講演会は「本から得られる感動と元気力」と題し、物語や詩の持つ力などについて語った。
　志茂田さんは「何かを読んで心が揺さぶられると、その感動は何１０年経っても心に残り、折にふれよみがえってくる。その感動が前をむいて歩いていく力になる時がある」と述べた。また、初めて読み聞かせをした時の思い出に触れ、「子どもだけでなく大人も読み聞かせに入り込み、『心が洗われた』とか、『嫌なことがあって落ち込んでいたけど、元気になった』と感想を伝えられた。自分も清々しい気持ちになリ、この読み聞かせを自分の活動にしようと、その時決意した」と語った。
　志茂田さんは、個性的なファッションでも知られている。震災直後、被災地で講演する際は地味な服装を心がけていたが、しかし、被災者からは「『いつもの服装できて欲しかった』と言われることが多かった」と話した。「明るい装いは人の心を元気にする」と気が付き、被災地でもカラフルな服装で訪れることにしたという。
　この日も、ピンクのタンクトップに、白のカットオフジーンズ、水玉のタイツと、志茂田さんらしいファッションで会場を明るい雰囲気にしていた。
　志茂田さんは静岡県出身。1976（昭和51）年、「やっとこ探偵」で小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。80年、「黄色い牙」で直木賞を受賞した。
　コメンテーターとしてテレビ番組に出演するなど幅広く活動するほか、98年からは全国各地で子どもたちへの読み聞かせ活動を行っている。
　「よいこに読み聞かせ隊」の隊長として活動し、講演は今年3月で1530回に達した。
　絵本や童話など、子供向けの本も数多く執筆している。
　　（２０１２・５・２８）