須賀川市和田で通信販売などを手がける農家「阿部農縁（のうえん）」を営む寺山佐智子さん（４４）は３日、農家の生活をともに体験してもらう「農家民宿」をオープンさせる。「ご縁を大切にした農業を営みたい」という思いから、自らの農家を「農縁」と名付けた寺山さん。農産物の通信販売を始めた中で出会った仲間たちからの応援も受け、ひと通りの改築を終えた。観光客の入り込みが期待できる大型連休中にようやく念願がかなった。
  寺山さんは須賀川市郊外の果樹農家の長女として生まれた。大正時代から続く農家の４代目。寺山さんは高校を卒業後、看護師として地元の病院に勤務した。しかし、農家が後継者不足から廃れていく様子を目の当たりにし、実家の跡を継ぐ決心をした。
　実家を継いでからはインターネットを利用した新しい販路開拓に力を入れ、モモの通信販売を中心に展開してきた。こうした中でこれまで大切に育ててきた人とのご縁が、震災後は助けられた。寺山さんの行動も後押しした。
　寺山さんは看護師や介護支援専門員として働いていた経験から、「ストレスの多い生活を送る女性たちに自分を取り戻すために活用してもらいたい」と農家民宿への構想は徐々に膨らんでいった。「農家民宿を利用しても
らうということは、自分たちとの親戚つき合いが始まるようなもの」と、農作物の世話や収穫を体験しながら過ごせる農家民宿の魅力を語る寺山さん。
  看護師や介護支援専門員としてのキャリアを生かし、ナーシングファ―ムとしてのケアにも当たる。「農家民宿」では、血圧測定などの健康チェックを受け、滞在中には適切な農作業（運動）、食事などの健康的な生活のサイクルを体験できる。体験宿泊だけでなく、日帰りプランも組み込んでいるという。
  問い合わせは、阿部農縁（電話0248－75－2382）へ。
メールアドレス　info@abe-nouen.com　／
ホームページURL　http://abe-nouen.com/profile.html

　　（2012・5・2）