震災や津波などによって奪われた故郷の風景を、あすへの希望を託して描いた版画家坂本勇さん（８０）＝いわき市＝の版画展が１７日まで同市のアートスペース泉で開かれている。

通算で３４回目、震災後は初めての個展。震災と津波をテーマにした「あの日を忘れない」、「カナダ紀行」「うつくしま　ふくしま」の３部構成で企画。

　今展には、津波をテーマにした新作１０点を含む約４０点の作品が出展。薄磯海岸のがれき群に２輪のひまわりが咲く景観を描いた「希望の花」や、津波に襲われる様子をリアルに描いた「あの日あの時、大地が裂けた」「鎮魂の祈り」、カナダ紀行として初出展の「ジャスパー国立公園」「キャッスル山」「ロブソン山曙光」、それに須賀川市の「乙字の瀧」、いわき市の「雪景阿弥陀堂」、灯台に集まるカモメを描いた「飛翔」などを展示している。

海沿いの近い場所にアトリエを構える坂本さんだが、「津波被害のリアルな作品だけでなく、復興への夢と希望を抱いて制作した作品もぜひ見ていただきたい」と話す。

観覧無料。問い合わせは、いわき市泉２丁目のアートスペース泉へ。電話0246-56-9101

【写真㊤は坂本さんと作品「希望の花」（２０号）】