日本を代表する漫画家、手塚治虫（１９２８－１９８９）の原画や資料を展示した「手塚治虫展」が１４日、郡山市立美術館で開幕した。
　手塚の代表作「鉄腕アトム」連載６０周年と、「ブッダ」の映画化を記念しての開催。開幕と同時に、貴重な直筆画やセル画をひと目見ようと、多くのファンや家族連れらが会場を訪れた。
　手塚は大阪府で生まれ、少年時代を兵庫県宝塚市で過ごした。会社員だった父が、当時珍しかった家庭用映写機を持っており、チャップリンの映画やミッキーマウスのアニメを見て育ったという。
　このころの体験が、後にアニメにのめり込む原点になったと、生前、手塚は語っている。
　恵まれた家庭生活の一方で、背が低いために学校ではいつもいじめられ、泣かされていたというエピソードも残る。
　いじめっ子を見返すため、相手の子にできないことをやろうと思い、考えついたのがマンガを書くことだった。手塚のマンガは学校で評判になり、いじめっ子からも一目置かれるようになった。
　１９４６（昭和２１）年、4コママンガ『マアチャンの日記帳』で漫画家としてデビュー。「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「リボンの騎士」「ブラック・ジャック」などのヒット作を次々と生み出していった。
　６３年、日本で初のテレビアニメシリーズ「鉄腕アトム」を制作、日本のアニメ界に大きな業績を残した。
　今展では、「漫画の神様」手塚が描いた約１５万枚に及ぶマンガ原稿とアニメーション約７０作品の中から、約１７０点の原画、資料、映像を選び、本人のコメントと合わせて展示。手塚が現代に伝えるメッセージとして紹介している。
　会津若松市で取材した「スリル博士」や、安達が原の鬼婆伝説を主題とした「安達が原」関連の作品も展示。
　ファンたちは貴重な原画にじっくりと見入リ、未来と夢のあふれる手塚ワールドに浸っていた。
　初日は、福島県出身で、アニメ「タイムボカン」シリーズの監督笹川ひろしさんが「手塚治虫と福島県」と題して講演。笹川さんは手塚の専属アシスタントを務めていたことがあり、身近に接した手塚との思い出などを語った。
　これからの関連イベントは次の通り。
　「安達が原」上映会（４月２２日午後２時、入場無料）▽ギャラリートーク（５月１２日・１９日午後２時、企画展観覧券が必要、講師は同館学芸員）▽美術講座「手塚治虫の絵の魅力」（５月２６日午後２時、参加無料、講師は同館学芸員） 　６月３日まで。午前9時30分～午後5時。月曜日休館。４月３０日（月）は祝日のため開館。観覧料は一般１０００円、高校・大学生500円。65歳以上か中学生以下、または障がい者手帳を持つ人は無料。
　問い合わせは、郡山市立美術館（電話024-956-2200）へ。