いわき市の学校法人・昌平黌（緑川浩司理事長）が運営する東日本国際大学（田久昌次郎学長）、いわき短期大学（同）の前年度（２０１１年度）卒業生の就職内定率が１００％を達成した。度重なる震災、原発事故の風評被害で大きな痛手を受け、さらに経済不況が続く中での１００％達成は過去に例がなく、開学以来の快挙だ。
　東日本国際大、いわき短大は、東北地区の私大ではトップクラスの就職率を誇る常連校として知られる。
　東北地区私大（１００人～１０００人未満の卒業者）就職率ランキングによると、東日本国際大の就職率はここ数年１～２位をキープしており、全国レベル（国公私立合わせた全国約７８０大学）でも、経済情報学部の就職率は１７位にランクする実績を残している。

　■４人に１人が公務員や上場企業、金融機関へ

　前年度の東日本国際大の就職内定先は、公務員（警察、消防署）、金融機関、１部上場企業が全体の２５・２％を占め、特に経済情報学部は３３・８％と高位だった。
　一方、いわき短大は保育園、幼稚園、病院、一般企業などからの内定を受けた。
　両大学は、厳しい雇用環境の中でも過去９０～１００％近い就職率をキープ。世界的な経済不況となったリーマンショック以降も、高い水準を保ち続けてきた。
　就職活動をサポートする大学のキャリアセンターは「（当該年度は）統計を取り始めた２００８（平成２０）年度以降、最も高い就職内定率となる見通し」と予測していたが、学生たちの努力と同センターのバックアップで予想通りの結果となった。
　東日本国際大の就職率は、経済情報学部が０９年度９８・２％、１０年度９２・３％、福祉環境学部が０９年度９３・４％、１０年度９２・１％と、いずれも９０％を超える高い数字を積み上げてきた。
　上場企業、公務員への就職率は、０８年度から２桁台が続き、１１年度は初の２割に達するなど過去最高の就職率を達成した。
　いわき短大は、幼児教育科が０９年度１００％、１０年度９８・６％で推移し、１１年度が再び１００％。また、福祉専攻科は学科創設以来２３年連続１００％の偉業を達成した。
　礼節を重んじ、儒学教育を掲げる昌平黌だが、同時に「地域に根差し、地域経済を支える」という地域一体の考え方も明確にする。こうした教育方針は県内外の官公庁や企業関係者から高い評価を受けており、求人数は２年前と比べ倍増。

　■指導実践を受け入れ、努力する学生たちの姿勢

　東日本国際大では前年度、留学生（韓国人女性）が県内の民間テレビ局に就職している。同大学の学生が放送局に就職したのは初めて。キャリアセンターによると「留学生は足しげく訪れ、指導を受けていた。何よりも取り組みが積極的だった」と話す。
　遠藤紀男キャリアセンター長は「リーマンショック後の経済不況下で真価が問われていただけに、１００％の結果は学生たちがコツコツと頑張ってきたあかし」と話し、指導実践を素直に受け入れ、努力する学生たちの姿勢をたたえる。