ウラン濃縮の研究開発に携わり、内閣府原子力委員などを務めた武田邦彦氏（６８）＝工学者、中部大教授＝は５月１６日、福島、二本松両市で「食と放射能」と題して講演、放射能を避けるための対策をアドバイスした。
　武田氏は「原子力発電の技術で日本は世界一。（福島原発が）不安定な状態が続いているが、心配することはない」と前置きしたうえで、「（事故直後から）放射能漏えいが多過ぎたが、９０％は太平洋に流れた。今後は汚染された土壌などをいかにきれいにするかが課題。ひとり一人が身の回りから除染し、福島はクリーンであるという信用を勝ち取ることが大切」と述べ、県民挙げたクリーン作戦の取り組みを強調した。
　放射能物質については「空気中に漂う火山灰ほどの大きさのチリと考えてほしい。花粉対策と同じ理屈で、マスク着用で防げる。家に帰ったら着衣を脱ぎ、たたいて落とすことが大切」とアドバイスした。
　乳幼児や就学児への対策は「（放射性セシウムの半減期などを踏まえ）子どもはこれからおよそ３０年間付き合うことになる。危険なところにまず子どもを近づけない。子どもを守れば、自然と大人も守れる」と注意を喚起した。校庭や公園などの表土除去、道路清掃、ドブさらいなどもすすめた。また、「お年寄りは被ばく、死亡に至る確率は非常に少ない。子どものためﾞ老人突撃隊ﾞをつくり、地区の清掃奉仕などのボランティアしてほしい」と助言した。
　福島の農産物に関して「東電や国などにすべて買い上げてもらう。農家の人には酷だが、福島の人は食べることを控えてほしい。特に子どもは注意が必要。１年は我慢してほしい」と懸念した。