コラム 「筆は一本也」
▼「一億総白痴化」「駅弁大学」や「恐妻家」などの造語、新語の類いを次々と世に送り出した戦後のオピニオンリーダー、大宅壮一。旺盛な好奇心と鋭い批評眼で世相を料理した稀代のマスコミ人だが、鬼籍に入りはや半世紀が過ぎた。

▼大地震、巨大津波、原発事故のトリプル災害に見舞われた福島の複合災害から10余年が経ち。こうした未曾有の災害から少々落ち着きを取り戻した今日、現在のロシアとウクライナ、イスラエルとハマスのそれぞれの戦火により、再び世界は混沌を極める。

▼波乱含みの新基軸の世界情勢もララに波乱含みが絡み、忽然と現われたカオスの世界は未だ終息しそうにない。わが国の複合災害に続く新たなカオス到来。果たして「マスコミの帝王・大宅はこれをどう眺め、表現するだろうか、残念ながら小生には的を射た造語はとても思い浮かばない。

▼さて、この頃の為政者や官吏、実業家、学者等々の「軽口」には癪に障る
【右を見ても左を見ても軽便家、己を律すべし】少々お粗末だが、明治期の批評家で小説家斎藤緑雨の警句を心を刻み、一歩づつ歩を進め、邁進したい。

▼「案ずるに筆は一本也、箸は二本也、衆寡敵せずと知るべし」（斎藤緑雨）