ワタミ会長の渡邉美樹さんを招いた復興支援講演会「オープンセミナー　逆境からの復興～夢を創り、夢を叶える～」が29日、郡山市のホテルハマツで開かれた。福島県産業振興センターの主催。
　渡邉さんは、1984年、資本金３００万円でワタミを創業。96年に株式を店頭登録、98年に上場入りを果たした
　「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」という理念で、外食、介護、高齢者向け宅配、農業などの幅広い分野で事業を展開。現在は学校法人郁文館夢学園理事長、岸和田盈新会病院理事長、NPO法人みんなの夢をかなえる会理事長など多くの役職を兼務する。
　講演の中で渡邉さんは、「ワタミの創業からこれまでの歴史を振り返ると、自身が経営者として成功した理由には、５つのポイントがあった」と語った。１つは「新しい事業を始める時、どんなことをすれば儲（もう）かるかと頭で考えるのではなく、どうやったら人のありがとうを集められるかと、心で考えることが大事。頭で考えたことは失敗し、心で考えたことは成功する」と述べた。次に「その事業が形になった時のことを頭に思い浮かべる。はっきりイメージできないものは失敗するが、イメージできたものは成功する」と語った。
　また、「事業をスタートさせることが決まったら、明確に計画し、即座に行動する。そして、何があってもできると自分を信じ、決してあきらめない。あきらめない人が最後には勝つ」と強調した。
　その一方で、「自分が成功できたのは、いろいろな人の協力をタイミングよく得ることができたから。運が良かったのも１つの要因。」とも語った。
　渡邉さんは、東日本大震災後は被災地の支援にも積極的に取り組んでいる。昨年６月には、岩手県陸前高田市の参与として特別支援アドバイザーに就任し、被災した商店の経営者や新しく事業を起こしたいと考える人たちのための「経営勉強会」を始めた。
　地元の経営者６７人に、自身の経験談なども語りながら、ビジネスモデルづくりや、経営についての考え方などを具体的にアドバイスしている。
　夫人がいわき市出身ということもあり「原発事故の被害に苦しむ福島の現状に心を痛めている」という渡邉さんは、講演の最後に「福島の人たちに元気になってもらいたい。辛い中でも夢を追いかけて欲しい」と、会場を訪れた約３００人の企業経営者らを励ました。