最近、人手不足からベトナムなどから外国人材を導入する企業が増えています。 そう言うと、外国人技能実習生を思い浮かべますが、ベトナムなどの外国人材を導入している企業の多くは、大学出で在留資格としては「技術・人文知識・国際業務」を持つ人材を導入しています。そして外国人である彼らは10年間日本に滞在し、5年間以上の就労経験があれば、日本に永住申請ができます。 
 
技能実習生の場合は国の機関からの監視の目が厳しく、管理する事業協同組合もしっかりと管理していることもあって、実施機関の企業も法令順守しており問題はあまりありません。
 
一方、海外の大学を卒業して日本に来る外国人材の場合は、企業と外国人との間での契約によるものです。在留資格の監督官庁は出入国在留管理庁（入管）、労働条件などの監督官庁は厚生労働省です。 
九州などの建設業界は、地元の公共工事の減少により、仕事を求めて県外に出張所を設置する傾向があります。例えば原発事故のあった福島を目指しての郡山、茨城県や千葉県などがそれです。
この九州の建設業界の動きに着目したのが、ベトナムの人材あっせんブローカーです。ベトナムでは、海外に人材を紹介する場合は国の許可が必要です。その許可を取得している人材紹介業に問題はありませんが問題は許可を取っていないのに斡旋してるブローカーです。許可を取っていないブローカーと知り、5千米ドルの紹介料を要求されても、「日本に就労の機会をうかがっている大卒の海外人材の方」は飛びつきます。 
 
福島の原発作業は給与30万円での募集です。さすがに入管は地元の建設業以外には建設エンジニアの在留資格認定証は認めませんが 、ＳＮＳなどを見ていますと、 
「ひとまず３ヶ月ほどはビザを得やすい企業に入社し、その後の転職で高い賃金の企業に職を斡旋します」 などのうたい文句で募集があります。これが海外の悪徳ブローカーの手口なのです。 
 
九州などの建設業界は一本気な性格の経営者が多く、ベトナムなどのブローカーから 
「日本で高収入を得たい外国人のために一肌脱いてください」と言われ、簡単に騙されてしまっているようです。 
 
福島の近くに出張所を設置する九州などの建設業界も同様ですが、外国人材にビザが出ないので騙されたと言って泣いている企業だらけです。 
海外の悪徳人材ブローカーが福島原発を食い物にしているのは由々しき事態です。 
技能実習生が勤務先から脱走して行く新たな就労先に、福島原発作業現場も含まれています。当然、福島原発現場側も厳しくチェックしていますが、チェックの甘いところを探しているようです。
 
苦労の多い原発作業現場。悪用されずに作業が進むことを願います。

　　　　　　　　　　　　　　　山根良一