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近代モダン建築と世界遺産・軍艦島を語る 郡山でトークショー 


関西を中心に東京などに残る近代建築の数々と、2015年に世界文化遺産に登録された明治の産業遺産、長崎市の軍艦島(端島)を取り上げた「近代建築トークショー〜ライトと遠藤新/軍艦島〜」が7月6日、郡山市のco-ba koriyamaであった。
 昭和モダン建築を紹介する北夙川不可止(きたしゅくがわ・ふかし)さん(大阪)と、軍艦島伝道師の黒沢永紀(ひさき)さん(東京)のコラボレーションで実現したトークショー。
 北夙川さんは、福島県出身の建築家遠藤新とその師フランク・ロイド・ライトに焦点を当て、年々消えゆく貴重な近代モダン建築への思いを語った。このあと黒沢さんは、軍艦島に遺るアパート群を取り上げ、国内初の鉄筋集合住宅だった軍艦島のアパートを引き合いに日本のマンションの原点を読み解いた。
 北夙川さんは、近代モダン建築として関西のブルジョアジーが建てた芦屋、西宮などの豪華絢爛な邸宅を取り上げ、細部に施された建築仕様を紹介。また、「夢を売るのが(当時の)デパートであり、文化発信の拠点でもあった」。「粋を凝らした内外装には目を見張るものあり、大きなものでは、日本橋の高島屋と三越しか
残っていない」とし、心斎橋大丸の解体への怒りを強く語っていた。
 「(今は建て替えられてしまったが)梅田阪急は電車に乗るためのコンコースを備えた世界初のターミナル百貨店でもあった」と述べた。
 こうした貴重な建築は「ナショナルコンセンサスとして国や地方が税金で保つ(維持する)ことも考えなければならない」。「建物は個人のものだが、景観はみんなのもの。そういった考えが欧米と日本の違い」と締めた。
 黒沢さんは、かつては廃墟、ゴミの島として扱われていた軍艦島が世界遺産になるまでの運動と経過を振り返った。「軍艦島は鉄の原料炭を採掘する人たちが集まった近
代日本における国内初の鉄筋集合住宅。大正5年建築で103歳を迎えた。大戦間時代の産物でもある」とした。
 「島の面積は0.063平方キロメートルで、ほぼ新宿駅(0.069平方キロメートル)構内と同じ広さ。そんな島内に5,200人強が暮らし、人口密度は世界一、現在の東京の6倍だった」。
「陽当たりの関係から、9階建ての屋上には保育園が建てられた。青空農園もあったが、次第に植物園と化していった」と述べた。 住民は三菱職員から炭鉱鉱員、下請け職員、業者と4階層の形で分かれていた。「まさに超エリートから前科者までで成り
立っていた」とも。
 「20世紀日本の縮図でもあり、早過ぎた未来都市でもあった」とその時代背景を語った。
 黒沢さんは前回に続いて講師を務めた。スライドを交えながら説明する2人のトークに参加者は興味深く、楽しく聞き入った。

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