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コラム・筆は一本也

「経済成長はイノベーションが鍵」

昭和を懐かしむ人が増えているようなが気がする。活気あった戦後の高度成長期の街並み、戦後日本で電化製品の「三種の神器」と言われた生活必需品の白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫や三輪自動車、ブリキおもちゃ…。1956(昭和31)年の経済白書は「もはや戦後ではない」とし、広く伝わった。
 
▼そんな昭和を回想するアーカイブもなかなかの人気のようだ。テレビのアーカイブ番組があればついつい見入ってしまう。幼い頃、隠れ家を見つけては冒険し、隠れ砦(とりで)をよくこしらえたことがある。ブリキおもちゃで想像を膨らませながら一人遊んだこと、そんな昭和生まれにとっては忘れがたい光景だ。
 
▼行け行けの戦後の昭和とは変わって、平成の今日は人口減少、少子超高齢化、それに限界集落、消滅自治体と悲観論が蔓延し、とりわけ地方衰退は手の施しようがない。自治体の消滅可能性をリポートした日本創成会議のデータも衝撃だった。23年後の2040年には全国の896市区町村が消滅の危機に直面するという。
 
▼少子化と高齢化が同時に進んで人口が減れば、国の根幹を支える労働人口も減少し、社会の仕組みや制度は立ち行かなくなる。長年、筆者もそう思い込んでいたが、つい最近にそんな人口減少のペシミズムを一掃する啓発本「人口と日本経済」(吉川洋著、中公新書)に出合った。実は経済成長の鍵を握るのは労働人口を多く抱えた労働生産ではなく、イノベーションにあるという。
 
▼ともかく超高齢社会は避けられず、国のすべてが変わらざるを得ない。そこで超高齢社会に向けた企業のイノベーションこそが日本経済の大きな可能性を秘めているという。何をどうして良いのか思案する筆者だが、とりあえずこれからもわずかばかりの年金を受けながら、あと10年は現役をなんとか通したいと思う。【平々凡々】
                              (2017・2・28)

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