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福島空港周辺に航空機工場の誘致を 郡山でセミナー

市場の成長が見込める航空機産業の工場を福島空港(須賀川市・玉川村)周辺に誘致しようというセミナーが4月27日、郡山市の郡山商工会議所会館であった。産学官交流会のふくしまイブニングサロン(世話人・内藤清内藤工業所会長)が「航空機産業の可能性について」をテーマに開いた。
 わが国の将来の基幹産業として期待されている航空機産業だが、被災地福島県は昨年から航空・宇宙産業の工場誘致の本格的議論を始めている。こうした中、航空機のアフターサービスであるMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール、整備・修理)の受託整備とともに、福島空港の利活用を視野に入れた産業のポテンシャルが注目されている。
 セミナーの講師は、航空機産業に詳しいみずほ銀行産業調査部次長の米澤武史さんが務めた。
 世界の主な地域の主要ジェット機の運航機数は、2013〜14年時点でおおよそ1万7千〜1万8千機台。これらが今後20年で倍増し、3万5千機を超すものと予想されている。とりわけアジア・太平洋地域を中心に伸び、同地域が今後の航空機産業の牽引役になると見られている。
 「日本は航空機産業の素材・設計・加工・基礎研究の基盤に加えて高度な科学技術を持ち、その強みを生かすことができる」と米澤さんは指摘。
 「現在の基幹産業である自動車の国内生産は中長期的には減少し、航空機産業はそれを補う有望な産業」。さらに「40年間メンテナンスがある息の長い産業」と強調した。
 福島県の地理的ポテンシャルに関しては、「空港近隣に広大な工場用地があり、陸路輸送も可能な立地条件に恵まれている」としてサプライチェーンが完備している利点を挙げた。
 米澤さんは「経産省、国交省、特区・優遇施策と国を挙げた支援策が不可欠だが、まずは地域の意思が実現への第一歩。やるという姿勢が大事だ」と述べて、「“地上戦”で着々と実績を積み上げていくこと」が肝要とした。
 しかし、世界の航空機産業は米ボーイング社と欧エアバス社のツートップで占める寡占状態。「現在、日本メーカーはボーイング社の下請け的存在であり、成長への方策は完成機メーカーとの合弁会社とも言えるRRSP(航空機の設計・開発を資金面も含めて分担し、航空機の売れ行きに応じた収益分配を受ける立場)となること」と戦略を示した。
 セミナーには郡山、須賀川両市などから関係者を含めて約70人が参加した。
 震災・原発事故からの復旧復興を掲げる福島県は、成長が見込める航空宇宙産業の参入を目指しており、先の航空宇宙産業シンポジウムでも「航空機産業の世界のマーケット拡大はほぼ確実。なかでもアジアは特筆される存在で、中小のものづくり企業の参画も有望だ」としている。
             (2016・4・28)


 

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