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コラム・筆は一本也

「小寒の暖かさ」

地球は自転しながら太陽の周りを公転する。このとき太陽の周りを1周する間に地球は365回自転する。これを基に古代中国では二十四節気(にじゅうしせっき)が考案された。夏至、冬至の「二至」と秋分、春分の「二分」でそれぞれ四等分したのが春夏秋冬の四季となり、さらに四季のそれぞれ中間の立春、立夏、立秋、立冬の「四立」で八等分して「八節」となった。これで一節の長さは45日となり、この一節をさらに三等分にして15日ずつに分割したのが二十四節気と言う。
 
▼古代中国で編み出された二十四節気だが、季節の変化を知り農作業や生活に役立てるため、1年を分かりやすく24の期間に分けている。二十四節気の23番目に当たるのが、きょう6日の「小寒」。北海道や東北の日本海側では相変わらず雪が降り続いているが、太平洋側は記録的な暖冬異変の中で寒さが一番厳しいとされる小寒を迎えた。ところで、寒中見舞いを出し始めるのは小寒のこの日かららしい。小寒から節分までの30日間がいわゆる「寒の内」で、この時期に寒中見舞いを出すのがしきたりとも言う。
 
▼筆者が幼かった当時はまだ旧暦の生活だったため、今の時期は年末のころ。小寒ともなると大掃除をして年越しに備えていた。小学低学年のころには新暦に変わったが、母方の実家は大きな農家で伝統もあったためかしばらくは旧暦で正月を過ごしていた。門松や神飾り、鏡もちなどどれをとってもわが家とは比べにならないものだったことを思い出す。小寒のころは大寒より寒いこともあり、「小寒の氷、大寒に解く」とも。物事が必ずしも順序通りに運ばない例えにも使われる。
 
▼仕事始めの日、気候温暖ないわき市に出掛けた。すると、国道沿いの温度計は寒いはずの長沢峠で9度、好間町に入れば16度もあり、行き交う車の多くが真冬に窓を開けて走っていた。海沿いの小名浜埠頭へ向かう途中、筆者も窓を開け潮風を取り込んでのドライブだった。「東北の湘南」と言われるだけのことはある。そのいわき市には黄色い花の蝋梅が咲き乱れ、民家の庭には早くもスイセンが咲き始めていた。早咲きで知られる三和のフキノトウもまもなく開花するかもしれない。【平々凡々】
                            (2016・1・6)

    

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