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コラム・筆は一本也

「義理賀状なのか」

年賀はがきを出す人、さらにその出す人でも年々利用枚数が減っているという。発行枚数は2003年の44億5936万枚をピークに年ごとに減り続けている傾向にあり、今年は30億2285万枚。およそピーク時から14億万枚以上減少している。普段手紙は書かなくても、年賀状は送るという人は少なくないと思っていたが、減少の要因は電子メールなどの普及に加えてライフスタイルの変化も背景にあるのかも知れない。そういう当人もここ数年ますます筆無精になった。
 
▼年賀状を義理堅く出す人でも、歳末押し迫ってからでないと宛名書きが始まらないというケースは結構多い。言い訳がましいが、時間があればあるほど手を付けたがらない。勤め人だったころは休日となれば遅寝遅起きであっという間に日が暮れ、一日が早々に終わってしまう。そんな中でまた出勤となるが、そこで職場ではとても目にしたくない光景を見てしまう。勤務中にはばかることなく宛名書きしている強い心臓の持ち主がいた。
 
▼不思議なもので毎年見ていると、あたり前の光景のように映ってしまう。年賀はがきを出す相手の顔を見ながらせっせとしたためるのは、どういう心境なのか知りたくもある。嫌みになるが、お互いにそれほどの相手ではないからかも知れない。さて、今はもっぱらパソコン頼りで手書きほどに時間はかからなくなったため、余り気をもむこともなくなった。そんな中、手書きの年賀状をいただくと差出人の気持ちが伝わり、ありがたい気持ちになる。
 
▼師走に入って、頻繁に届いていた喪中のはがきもパタリとなくなった。年賀のあいさつを控えさせてもらうという内容だが、生活辞典によると「喪」はあくまで近親者が死者を悼む自発的なもの。つまり「喪中につき年賀の儀は欠礼します」というのは本来おかしなことらしい。欧州では未亡人が一生喪に服することもあるという。喪中のはがきが届いたとしてもこちらから送るのは構わないという見方もある。相手方の気持ちを推し量っての判断となるが、これが最も難しい。だから職場で片手間に書いている場合ではない。【平和安泰】
                    (2015・12・26)

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