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コラム・筆は一本也

「白秋の誘い」

「時に残月、光冷ややかに、白露は地に滋(しげ)く…」。中島敦の有名な「山月記」の一節だ。唐の時代に、すべてを投げ打って名高い詩人になろうとしたものの、そうなれずに虎になってしまったという男の話である。そこはかとなく無常観や寂寥感を覚える。さて、あす8日は「白露」。夜中に大気が冷え、早朝になると草木や花々に露が結ぶところから、白露と言われる。昼と夜の温度差が大きくなり、露が降りるようになるという季節の変わり目。残暑も幕を閉じ、白秋へのプロローグが駆け足で始まる。
 
▼猛暑続きだったこの夏、今度は虫の音を聞きながら眠りにつける日々を思うと自然と心も安らぐ。日増しに肌寒くなってきたこのごろ、明け方に草木に見られた露も日が射すころは瞬く間に消えてなくなっている。昔人はこうしたはかなさや、清々しい秋らしさを感じながら和歌、俳句をたしなんでいたのだろう。空気中の水蒸気が冷やされて早朝に水滴となる露。月が美しく見える時季だけに、「月の雫」と呼ばれたりもする。花や宝石にも例えられ、「露華」「玉露」の呼称もある。秋は白露、白秋と清廉なイメージがあるが、しばらくすれば赤々と燃える秋に姿を変える。
 
▼気がつけば、拙宅の裏庭に雑草に混じって数株の露草が生えていた。花は朝に咲き、日が照ったころにはしぼんでしまう。「月草」という名があり、かつてはその藍色が染め物に重宝されたらしい。このころには鮮やかな曲芸飛行を見せていたツバメも南国へと飛び立ち、代わりに細めの体と長い尾のセキレイを多く見かけるようになる。神話にも登場するこの鳥は、「恋教え鳥」「恋知り鳥」とも。何故に恋なのか。それは神話のイザナギとイザナミが愛を交わす折にならったのがセキレイの尾の動きと言われる。
 
▼人は自然とともに生きるのが最良と実感するこのごろ。二十四節気の意味をひとつ一つを理解すれば、日々の生業も一層豊かに感じられるから不思議だ。若いころはさしたる興味もなかったが、齢を重ねるごとに自然の暦の素晴らしさを知る。先人は太陽の運行を基に一年を二十四節気に分け、暮らしに根付かせて農作業や行事の目安としてきた。次世代にもつなぎたい日本の暦である。原発事故のため福島の地を離れて暮らす人たちも、暦をめくりながら彼の地で故郷に思いをはせているはずだ。【天下万民】
                        (2015・9・7)

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