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コラム・筆は一本也

「戸惑う休み」

子どものころ、夏休みに田舎の親戚宅に泊まると苦手なこと、嫌なことが幾つかあった。中でも食事には馴染めなかった。みそ汁におかずは菜類ばかり。子ども心にも不平不満を募らせたが、それでもこちらは居候の身とあって我慢するほかなかった。昭和30年代始めのころの話である。学校給食の改善運動があったのもこの時代だろうか。米軍払い下げの脱脂粉乳からようやく解放され、ミルク(牛乳)がおいしいと感じたのもこのころだった。
 
▼飽食の今では考えられないが、高度経済成長が本格化するころまで敗戦国日本は食糧難だった。焼き肉やビフテキといった肉料理などは高嶺の花であり、裕福な家の子どもでもないと食することはかなわなかった。当時、日本人の食事には脂肪分が少なく、文部省が「脂肪分を増やす」という方針を教育委員会に通達していたという。今や脂肪はダイエットの敵であり、燃やす標的でもある。そんな中、今夏は猛暑が続き食欲も失せがち。とは言ってもダイエットにはおよそつながらないが…。
 
▼ともかく猛暑に打ち勝つよう、福島の食材で今夏を乗り切るしかない。果物王国・福島を代表するモモやナシ、それに出回り始めたブドウのディラウィア。スーパーの食材コーナーにはこうした果物や夏野菜の枝豆、トウモロコシ、ナス、キュウリ、薬味に欠かせない大葉などの地場産が埋め尽くしている。海産物もウナギの人気は相変わらずのようで、スズキやアワビ、スルメイカ、クルマエビ、脂の乗ってきたサンマ、イワシと種類も多く、夏バテ気味の体調回復にはもってこいのものばかり。
 
▼立秋も過ぎ、このところ朝夕の涼しさが日増しに感じるようになった。お盆の時期、降り続く雨が止むのを待って墓参りに出掛けた。あとはのんびりと過ごしたいと思うが、それも間々ならない日々が続く。仕事を出来るだけ見直し、心機一転でこの秋を迎えたい。子どもたちの夏休みも後半に入り、宿題に追われる光景もそろそろ見られるが、まず何よりも心身の健康が一番。その子どもの自殺は、夏休みなど長期休暇が明けた9月1日が最多というから要注意だ。【平々凡々】
                 (2015・8・14)

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