郡山地域テクノポリス推進機構は２５日、新春講演会「ふくしま復興へのチャレンジ！！　～地域中小製造業は今、何をなすべきか～」を、郡山市のホテルハマツで開いた。
　講師は福島県復興計画検討委員会委員長で福島大名誉教授の鈴木浩さん。復興への取り組みと、その中で地域の中小製造業が果たす役割を語った。
　鈴木さんは「東日本大震災は、経済的低迷や政治的混迷、社会的不安のなかで発生した。今回の災害は地方経済の疲弊に拍車をかけるのか、それとも、大きな改革の方向を切り開けるのか、岐路に立っている。中小製造業などの前向きな取り組みが地域経済の牽引力になる」と述べた。
　一方で「原発事故の収束については、政府の見解と県民の認識はかなり違っている。原発事故のため福島県は他の被災地に比べて復興が遅れており、政府が考える復興対策は被災地の現状に見合っていない」と厳しく指摘した上で、「被災した地域経済、産業を立て直し、被災地で失業した人たちの雇用を増やすには、地元で原料を供給して製造・流通までを行う『地域循環型経済システム』を取り入れるべきだ」と述べた。
さらに「原発に変わるエネルギーとして注目されている再生可能エネルギーの施設に関しても、県内の中小製造業が技術開発に取り組むことが望ましい」とし、「そのためには、県内の企業に対して、金融機関が特別な融資をするシステム『地域循環型融資システム』をつくるべき」とも語った。
　地域循環型経済システムの成功例として、「福島方式」の仮設住宅も紹介された。同住宅は大手メーカーなどでつくるプレハブ建築協会ではなく、県が地元工務店などに発注して建設した。
　暖房効率のよい木造住宅で、県内に６千戸が建設。地域経済の活性化と仮設住宅の環境改善につながるなど、注目されている。
　講演会には郡山市内の中小製造業経営者ら約９０人が出席した。