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コラム・筆は一本也

「節電と命と停電」

終戦から70回目の夏、フクシマにとっては5度目の夏でもある。東京電力福島第一原発の事故以来、全基停止の中で迎えた今夏。節電志向もそれなりに高まっているが、これだけ真夏日や猛暑日が続くと冷房なしではとてもじゃないが過ごせない。熱中症の発症率も当然高く、節電も命には変えられない。室内や就寝時にも発症するという熱中症だが、水分や梅干しなどの塩分補給だけでは完全に防げないだけにここは節電の二文字を忘れて朝からエアコンに頼っている今日この頃である。
 
▼よく言われる異常気象の兆候なのか、九州や中国、四国地方では梅雨明けはしたものの台風や連日の豪雨続きで土砂崩れの被害が相次いでいる。東北地方もそろそろ梅雨明けだろうが、このところは蒸し暑さを伴っての「烈夏」続きである。8月になればムシムシ感はぐっと薄れ、カラッとした暑さで朝夕には涼風も吹き始めてしのぎやすくなる。それでも冷房なしの生活は危険で、特に高齢者世帯では節電は要注意である。扇風機でも対応出来ないわけではないが、除湿機も併用しないと体力が衰えた高齢者にはやはり危険だ。
 
▼「真夏の雷三日間」と言い伝えられるように、このところ福島県内は夕方になると激しい雷雨に見舞わる。あまりの暑さに空を見上げれば盆地の小高い山々の上に威丈高の積乱雲が発生、出番を待っている。地上で熱した空気が上昇し、上空の冷気を刺激して雷雨となるわけだが、寒気の動きが遅いのも要因という。先日の夕刻、福島盆地は突如として轟音が鳴り響き、たたきつける雨であっという間に薄暗くなり、そこからところかまわずに雷光が住宅街を明るくした。あとは予想通りの停電だった。
 
▼とにかく驚天動地の爆音とともに、近くに落雷を確信した矢先の停電。家中の電気機器がすべて止まり、激しい雷雨のため窓も開けられず家の中は蒸し風呂のような暑さとなった。オール電化もこの時ばかりは逆効果。震災から久しぶりに停電を体験したが、やはりこうした体験はまっぴらご免だ。こうした声を背景に電力業界や経済界はやっぱり原発再稼働をと目論んでいるわけだから、弱音も吐けない。電気料金が割高になるのは避けられそうもないが、それでも不安定電源の再生エネルギーの広がりを願う。【天下無双】
                (2015・7・25)

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