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コラム・筆は一本也

「梅雨のあれこれ」

北陸地方も梅雨入りし、いよいよ残すは東北地方のみと思っていた矢先、福島県など東北南部の梅雨入りがきょう出された。今年の梅雨明けは例年に比べて遅くなりそうだとのことから、これから憂うつにもなってくる。それでも気持ちは持ちようで、それなりに梅雨時を楽しく過ごすことも出来そうだ。ジメジメした毎日が待つが、この際だからその楽しみ方を幾つか列挙しながら探ってみたい。しばし、お付き合いのほどを。
 
▼この節にぴったしなのがアマガエル。体長3~4㌢ほどの緑色のカエルだが、雨が降る前に「グァ、グァ」と泣き出すのが特徴だ。「雨鳴き」と言われているが何と降水の的中率は5割強というから驚く。鳴くのはオスだけだが、メスに声を発するのは「広告音」と呼ばれ、雨鳴味覚の方では、殺菌作用もある新ショウガや動脈硬化予防にもなると言うサクランボ、ジャガイモなど。見て楽しめるのはアヤメやショウブ、カキツバタと言ったところか。
 
▼アヤメは乾いた場所、カキツバタは湿地に咲くと言われる。有名どころでは、鎌倉の明月院、京都の三千院に代表されるアジサイ、それに妙齢な女性とも表現されるユリ、尾瀬沼を象徴するミズバショウがあがるだろうか。私的にはクチナシが好きだ。山林にも自生するが、強い香りを放ち、汚れのない真白い花がたまらない。花言葉は「幸福者、夢中、優雅、清浄、楽しい日々」と数多い。秋に実を付けるが、熟しても割れないために「口無し」と呼ばれるようになったという説もある。
 
▼シャレではないが、話はカエルに帰る。福島県双葉郡川内村にある平伏沼(へぶすぬま)は天然記念物のモリアオガエルの繁殖地として知られる。沼周辺の樹皮や葉に白色の泡状の卵塊を付けて繁殖する光景には、初めて見る人たちを驚かす。モリアオガエルが縁でカエルの詩人と言われた草野心平が寄贈した3千冊の本などを収蔵する天山文庫もある。曇り空や梅雨の晴れ間に、緑豊かな県土の自然に触れるのもお勧めだ。【雨男雨女】
                (2015・6・26)

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