ポーランドでは、１１月１日は諸聖人の日になっていまして、祭日です。諸聖人の日というのは、カトリック教会の祝日の一つで、全聖人と殉教者を記念する日です。日本では「万聖節」（ばんせいせつ）ともいわれます。諸聖人の日は、名前のとおり全ての聖人の日であって、決して忘れられた聖人のための日ではありません。カトリック教会の典礼暦では11月1日が諸聖人の日、続く11月2日が死者の日となっています。　
　　　　　　　
　ポーランドの人々は、お墓参りをします。お花（生花や造花、花輪、花束、花鉢）をいっぱい買って墓地のほうに持っていきます。ポーランドは、お線香は使いません。お墓参りようの蠟燭（ろうそく）とお花をお墓の上に置きます。すると、暗くなってから墓地が燃えてるように見えます。蠟（ろう）がいろいろな色のガラス容器に入っていますから。火がついていると、やっぱり綺麗（きれい）です。その日は暗くなるのが５時ごろです（冬の時間のため）が、墓地は８時まで開いています。皆がお墓参りできますように。ある人は、一つの墓地だけではなくて、数カ所も回らないといけませんから。
諸聖人の日だけではなくて、ポーランド人は一年中、お墓参りをよくします。近くに住んでいる人は毎週末でも墓地に行きます。ですから、お墓はいつもお花と蠟燭だらけです。

　ポーランドでは、普通は土葬です。土地が広いから、場所のことは誰も考えていないです。もう一つの理由は、ポーランド人は火葬のことを考えると、第二次世界大戦を連想してしまいます。というのは、戦争中、ポーランド国内にある強制収容所で沢山の人々が殺されてしまいました。彼らの死体が焼却炉の中で燃やされました。火葬という単語が聞こえてくると、ポーランド人はそういう強制収容所を連想してしまいます。しかし、火葬が少しずつ増えています。よく考えますと、そっちのほうがいいでしょう。私も、昔、火葬には絶対にさせないと思っていました。でも、日本へ行って、いろいろ考えて、やっぱり、火葬のほうが土葬よりずっといいと思うようになりました。ですから、母が亡くなった時は、火葬にしました。しかし、ある人たちにいろいろ言われたのです。「信じられない」ですとか「・・・・」。

　諸聖人の日の話に戻りますと、そういう日が必要でしょう。自分の先祖に感謝をするため、知っていた人のことを思い出すため、自分もいつか亡くなるから、他人に忘れられないように、他人の心によい思い出を残しますようにどういう人生を送ればいいか考えるためです。