事が成就する術は何だろうか。ひたすら努力し、脇目も振らず、わが道を邁進することか。先に見えるのは歓喜と充溢、それに優越感かもしれない。安倍首相は悲願の憲法改正（改悪）へまっしぐらである。その前段において戦後の安全保障政策が大転換する。昨日、安倍政権は戦争中の他国軍を後方支援する新たな恒久法案、集団的自衛権を行使できるようにする武力攻撃事態法改正案など安保法制の関連法案を閣議決定した。国民は果してこれをどう受け止めるか。

  

▼簡単に言ってしまえば、戦後 70 年続いた平和の纏を脱ぎ、戦闘服に着替えることである。安倍首相は日米の同盟関係を踏まえ、「切れ目のない対応をしっかり整えていくこと、同盟関係がしっかりしているということは、抑止力につながっていく」と述べたようだが、それでは大雑把ではないか。多極化する世界で、余りにも短絡で時代錯誤な選択だろう。第二次大戦以降、米国はどうみても好戦的である。かつての米ソ冷戦下での朝鮮戦争、ベトナム戦争、それに中東紛争と、やたらと戦争する国である。

  

▼自衛隊が平和部隊の名のもとに軍隊へ移行し、さらに考えられるのは民間人から予備兵を募り、次に徴兵制である。けっして絵空事ではないだろう。国情は違っても、お隣の韓国ではすべての成人男性に一定期間軍隊に所属して国防の義務を遂行する兵役義務を課している。 40 歳までを「民防衛」と言い、 20 歳で入隊した場合に約 20 年間の服務義務を全うするのが韓国の徴兵制度だ。政権がこうしたことを詳しく研究しているかどうかは知らないが、日本国民はまだまだ他国とのこととしてとらえ、認識していないように思う。

  

▼さて、きょう 15 日は沖縄本土復帰記念日である。昭和 47 （ 1972 ）年のこの日に沖縄返還協定が発効、四半世紀に及んだ米国統治が終わりを告げた。「核抜き、本土並み」の返還とも言われたが、実際はどうだっただろうか。沖縄本島には 30 以上の米軍基地や弾薬庫、演習場などが残され、その面積は全県の約 12% にも上った。名ばかりの本土復帰に沖縄県民の多くは不平不満を持つ。独立を叫ぶ人も少なからずいる。アメリカの「属国化」を強める安倍政権は、より多極化、複雑化する世界が見えているのだろうか。【天下無双】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ 2015 ・ 5 ・ 15 ）