内戦で荒廃したルワンダ（中部アフリカ）の学校教育を再建するため、日本と母国・ルワンダを行き来してボランティア活動する、ＮＰＯ法人「ルワンダの教育を考える会」理事長のカンベンガ・マリールイズさん（４６）＝福島市在住。震災後はルワンダに一時帰国し、多くの仲間に日本への支援を呼びかけた。一方で、海外メディアの取材に応じ、被災地の現状をフランス語やルワンダ語など多国語で訴えている。マリールイズさんにその思いを聞いた。
 
―ルワンダの教育を考える会の取り組みはどのようなものか。
 
「考える会は、福島で生活する中で出会った友人らの協力で立ち上げた。ルワンダに設立した小学校は、現在１５教室あり、２００人以上の生徒が学んでいる。これからの私たちの目標は、貧しい子どもも引き続き通学できるようにすることであり、将来は幼稚園から大学までつくって一貫した教育ができるようにしたい」
 
―震災後、母国に一時帰国した時、被災者を思って集会を開いたそうだが。
 
「震災からちょうど半年の９月１１日に、日本のために<祈りの集い>を開いた。被災した人たちに、『ともにいるよ』という気持ちを込めて一生懸命祈った」
 
―海外メディアを通して、震災後の福島の様子を伝えたそうだが、その内容は。
 
「被災地者の生活の様子を伝えたかった。『水が出ない』とか、『店が開き始めて買い物ができるようになった』など、自分自身が被災地でどのように生活しているかを、そのまま伝えた」
 
―被災地を訪れてボランティア活動したが、感じたことは。
 
「避難所で肩を寄せ合っている親子を見た時、内戦を逃れて、３人の子どもたちと難民キャンプにいた時の自分と同じだと思った。被災者の苦しみや悲しみがよくわかった。元気になってもらいたいと心から思った」
 
―日本を励ます応援歌を作ったが、どのような歌か。
 
　「ルワンダ出身のミュージシャン、ジャン・ポール サンプトゥさんが作詞・作曲した。〈大変だったと思うけど、元気にして。必ず良くなるから〉という意味の歌詞で、私が日本語に訳した。被災地に行く時は、必ずこの歌の録音を持って行き、被災地の人たちに聞いてもらっている。サンプトゥさんは私たちの会の招きで日本を訪れたことがある。ルワンダ内戦で傷ついた子どもたちへの教育支援を目的にしたチャリティーコンサートに参加している」
 
―これからの日本、福島へ伝えたいメッセージは。
 
　「被災者の声を聞いて、将来のある子どもたちを、まず国が守って欲しい。原発事故で、福島は暗いイメージを持たれてしまったが、本当は、美しく素晴らしいところだということを、みんなが世界に訴えて欲しい」
 
　【略歴】１９６５年、ルワンダ人の父の赴任先、コンゴ民主共和国（旧ザイール）に生まれる。９３年、青年海外協力隊の現地協力員として福島県に。９４年、帰国して２カ月後に内戦が勃発。家族と難民キャンプに逃れる。同年、留学生として再来日。２０００年、「ルワンダの教育を考える会」を立ち上げる。現在は、同会の理事長として、命の尊さや教育の大切さを訴える講演活動で全国を駆けめぐる