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コラム・筆は一本也

「気軽なシンボル」

60年に一度の甲午(きのえうま)だった本年も、残すところあと3日。今にしてやり残したような、そんな悔いが残る年の瀬を迎えたようである。ともかく悔いを残さずに新しい年を迎えたいが、凡人には何ともなすすべがない。あたりを見渡せば、活況を呈する歳末商戦だが、それでもクリスマス商戦に比べて商戦は年々低下しているらしい。内閣府や東北百貨店協会などの調査でも、消費減退が際立ち、地方にとってはアベノミクスによる円安・株高、賃金上昇などの景気のいい話は大企業や輸出業界だけにとどまり、広がりを見せていないようだ。
 
▼これから帰省の土産物や正月用品を買い求める家族連れらで盛り上がりを見せそうだが、そうした購買も単価的には安く、売り上げ増に結びつくには力不足だ。とりわけ若い世代には正月より華やかなクリスマスがメーンになっているようだ。それでも、暮れも押し詰まるとほとんどの住宅の玄関にはきらびやかな正月飾りや若松などの縁起物がお目見えする。新たな年への期待の高さはまだまだ捨てたものではない。五穀を守る「年神様」は元日にやってくると言われ、門松はいわば年神様が宿る安息所の役目を果たすらしい。
 
▼私事だが、新年を迎えると急に信心深くなる。それだからか、正月飾りは何故かしら欠かせないものになる。一方で気になるのが祝日に掲揚される国旗・日章旗。かつては元日をはじめ、建国記念日、憲法記念日、文化の日などにはそれこそ門ごとに掲げられていたものだが、最近は目にすることが少なくなった。天皇誕生日に日の丸を見かけたのは官公庁や神社を除けば、わが町内でわずかに一戸だけ。そんなわが家では国旗は押し入れに眠ったまま。子どもたちが小さいころには喜ぶ顔が見たくて掲揚していたが、成長とともに取り止めている。特に理由はない。
 
▼外国では多くの国々が堂々と国旗を掲揚しているが、日本は短絡的に右寄りなどと見られることもあり、総体的に少ないようだ。誇りや信念を持って掲げる人、嫌う人と様々だが、日章旗=戦争へのイメージが強いのも一因だろう。日本のシンボルとして気軽に考え、掲揚する習慣を身につけてはどうだろう。アメリカ人はバッジ好きだと言われるが、今や日本人こそがバッジ好きな国民のような気がする。それもよし。そうした感覚で、国歌をアレンジして歌うように、けっして神国でない日本を広めたいものである。早速、有言実行といきたい。【千変万化】
                 (2014・12・28)

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