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コラム・筆は一本也

「白旗と和平」

神社仏閣の祭礼や儀式には、必ずと言っていいほどいわれや因縁がつきものだ。今からおよそ960年前の1055(天喜3)年、戦いに敗れた源氏の軍勢がわずか数騎で木幡山に立てこもったところ、一夜にして降り積もった雪で全山が白くなった様を追走してきた安倍の軍勢が、源氏の白旗に見間違えて戦わずして敗走したという逸話がある。これが福島県二本松市の旧東和町に国の重要無形民俗文化財「木幡の幡(はた)祭り」として今に伝わっている。白幡を先達に色とりどりの幡が行列し、「日本三大旗祭り」の一つとも言われている。
 
▼白旗ともなれば、一般には降伏を意味するものだ。ウィキペディアによると、「日本の武士
集団にこれを軍旗とする例が見られ、近代以降でもフランス海軍における軍艦旗としての使用例がある。戦時国際法に基づき、主として停戦交渉や降伏の際に用いられるものである」とある。確かに西洋から近世以降に入ってきた作法なので、白旗を揚げることと源氏の白旗は無関係のようだ。日本で初めて降参の印として白旗が使われたのは戊辰戦争と言われており、開国以前は降参の意思表示に白旗を揚げる風習はなかったらしい。
 
▼旧聞だが、「信長公記」には1567年に信長が近江箕作城を攻めた時、箕作城の城兵が「笠を出し、一命を助けてくれれば旗を巻き、矛を逆さに持って降参すると言ってきた」と言う記述があり、開国以前は笠を降って降参の意思表示としていたようだ。五色に彩られた百数十本の五反幡を押し立て法螺(ほら)貝を響かせ、福島県阿武隈山系の山間の道をぬって木幡山をめざす幡祭りは、師走の風物詩。例年師走の第1日曜日に行われており、今年は7日早朝から色とりどりの旗がたなびく勇壮な祭りが楽しめる。
 
▼地元の伝説によると、東夷征討の源頼義、義家父子と東奥六郡を支配していた安倍頼時、貞任、宗任父子ら安倍一族との戦に由来するようだ。山頂にある弁財天を守護の賜物と受け止めた義家は社殿をつくるが、それが天皇の命名で木幡山と名付けられたとも言われる。ふもとには奥州を治める意味の治陸寺(じろくじ)があり、隠津島神社の由来にもなっている。明治期の神仏分離で寺はふもとに移るが、この寺は私事だが母の生家の菩提寺であり、幾度か母を連れて先祖の霊を慰めた思い出がある。
 
▼安倍一族が退散した日に地元の人々は木幡山を霊地として信仰し、源氏の白旗をなぞらえて五反幡を作って練り歩くようになったのが幡祭りの起源でもある。カラフルな五反旗を担いで山腹の隠津島神社を目指して行列が出発し、一の鳥居を過ぎると二手に分かれて表参道と裏参道を登るようになる。風が強いと、帆船を思わすような光景になり圧巻だ。担ぎ手は相当大変だが、途中には羽山神社があり、初めて参加する太刀持ちの若者が大きな岩の穴をくぐり抜け産土神に大人として認めてもらうという、しきたりが今も続く。この地において白旗はけっして敗北を意味しない。【平和国家】
                 (2014・12・6)

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