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復興への思い

「方言は力なり 言霊で鼓舞される被災地の人々」 東北大学大学院文学研究科教授 小林隆

小林 隆(東北大学方言研究センター)

1957年新潟県生まれ。1983年東北大学大学院文学研究科博士課程退学。博士(文学)。国立国語研究所研究員を経て、現在、東北大学大学院文学研究科教授。著書に、『方言が明かす日本語の歴史』(岩波書店)、『ものの言いかた西東』(岩波書店)ほか。

方言は日常生活にあふれている。われわれにとっては空気のようなもので、当たり前の存在だから、ともするとその大切さを忘れがちである。もちろん、平穏な生活の中ではそれでもよかった。ところが、東日本大震災のような非常時になると、方言がどんな意味をもっているか、あらためて気づかされることがある。
 こんなことがあった。震災と方言についての報告会を開いた時のことである。被災者のお一人が立ち上がって次のようにおっしゃった。
   よく「がんばろう宮城」とか「がんばっぺ宮城」とかいったスローガンを目にします。自分自身、自分の家族、たくさんの友人を失っているせいか、共通語の「がんばろう」という文字を見ると、ときどき腹が立つんです。何ががんばろうだ、これ以上何をがんばれというんだ、と思うんです。でも、「がんばっぺし宮城」とか「まげねぞ宮城」と方言で書いてあると、「んだんだ、まげねえ!」と思うんです。
   だから、こういう方言というのは、本当にその土地の人たちの魂がこもっている言葉だと思うんです。方言には言霊がある。それが被災者を支えることができると私は思っています。そう感じて来たし、今日もここで聞いていて、やはりそうであってほしいと思いました。
震災直後から現れたスローガンに対するご意見である。これを聞いて、正直、私は驚いた。方言はそこまで地域の人々の支えになっていたのかと。
 今の時代の方言が、多分に心理的な存在になっていることは私も気づいていた。相手との距離感を縮めたり、親しく話をしたりするときには方言が有効だ。そこが共通語とは異なる方言のよさである。共通語は実用性に富むが、ともすると相手との距離を遠ざけてしまう。改まった感じも付きまとう。そこへいくと方言は、相手との一体感を作り上げてくれる。
 こうした方言のもつ効果が、震災という非常事態の中で、より大きな意味をもってきている。どうしようもない現実の中で、ほっとする心の安らぎは、土地の仲間との方言による語らいから生まれる。異郷の地に避難せざるを得なかった人々は、電話から聞えて来る家族や友人のお国言葉に癒される。今や方言は被災地の人と人とを結ぶ心の絆となり、人々とふるさとをつなぐ帯紐の役目を担っている。そうした方言の力が、ふるさとの復興へと立ち向かう人々の心を励まし、背中を押してくれているのである。
 方言は郷土の文化の象徴である。代々受け継がれてきた地域の生活や人々の考え方を言葉の世界に宿している。国宝級の無形文化財が方言だと言ってもよい。それに加えて方言は、この震災の中で、被災地の人々の心を支える存在にもなった。伝統文化の象徴としてだけでなく、人々の心情に寄り添う役割が重要になってきたのである。話されれば話されるほど方言は大きな力を蓄え、復興に向けて歩む被災地の人々を鼓舞し続けていくだろう。
 (写真は「東日本大震災と方言」報告会)

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