普段聞き慣れないが、「特異日(とくいび)」という言葉がある。普通の日とは違う日のことだが、気象学でよく使われている。一度は耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。今月26日はまさに気象学上の特異日だった。1958（昭和33）年の「狩野川台風」、翌59年の「伊勢湾台風」、最近では2007（平成19）年に関東地方を直撃した台風9号など、とにかく日本に上陸する大型台風は9月に集中し、それも何故か26日に上陸する。今年は台風の当たり年らしく、目下、台風17号が日本列島を目指して北上中。場合によっては関東、東北南部も要警戒だ。
 
▼昨日は絶好の秋晴れに恵まれ、台風の存在などは忘れるほどの穏やかな終日だった。福島県観光のドル箱とも言える観光道路「吾妻スカイライン」では、入り口の高湯、土湯の両温泉一帯も日増しに紅葉が進み、兎平や浄土平など1千㍍を超える山腹は早くも紅葉シーズンを迎えた。観光道路も数年前から有料道路が無料に切り替わり、福島市や周辺市町村に避難している被災者も多く訪れているらしい。たび重なる台風の特異日が外れ、秋の観光をプレゼントしてくれたことはいずれにしてもありがたい。
 
▼上陸こそしなかったが、1954（昭和29）年9月26日には青函連絡船「洞爺丸」の座礁による転覆事故があった。1千人を超す乗客、乗組員の死者と行方不明者を出した。台風が通り過ぎるのを防波堤外側で仮停泊している時に起きた事故で、大勢の客を乗せた船が暴風に流されてしまった。これも特異日の悲惨な事故である。一方で、特異日には好天に恵まれやすいと言うありがたい日もある。64（昭和39）年10月10日の東京オリンピックの開幕日にちなんだ「体育の日」も晴れの日が多かった。「体育の日」は、今は10月第2月曜日に変わっている。
 
▼11月3日の「文化の日」、5月5日の「こどもの日」なども好天に恵まれる特異日として知られている。その特異だが、得意と勘違いする向きもある。多くの国民の声を無視し、憲法を変えることもなく集団的自衛権の容認、被災者・被災地を無視しての原発再稼働、海外への原発輸出と続く中で、長期政権を目論む安倍首相の場合はやはり「得意」満面だろう。否、歴代首相でも「特異」に属すると言った方が適切だろうか。今思えば民主党の迷走劇は大変な罪つくりだった。これが原因で今の政権が誕生したようなものだから。そこで10月5日には安倍政権を応援する「安倍長期政権応援フェスタ」が開かれるそうな。メモに「特異日」として記入しておこうと思う。【平々凡々】
　　　　　　　　　　　　　　　　（2014・9・27）