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コラム・筆は一本也

「福島のキュウリ」

月遅れお盆をはさみ、ここ数日の梅雨のような雨模様からようやく解放された。盆休み明けとなった18日の福島県内は全般的に晴れわたり、久しぶりに夏空が戻った。さて、夏野菜と言えば、ナス、キュウリ、ゴーヤ、サヤエンドーなどが代表的だが、台風や活発化した前線の大雨、強風、日照不足により高値が続いている。福島特産のモモも落果や強風による傷などで被害が出て、折からの高値の要因になっている。
 
▼帰省した子や孫などに野菜や果物を送ってあげる親兄弟も多いが、消費増税後の今になっての値上げや高値も加わり、親はダブルパンチではなかろうか。それでも離れて暮らす子や孫を思う気持ちからか、親はせっせと仕送りする。ところで、首都圏から帰省した主婦らに聞けば、ふるさとの夏野菜や果物は東京などに比べるとまだまだ安く、新鮮で美味しいという。それだけに親も送りがいがあるというもの。
 
▼野菜などは日によって入荷量が異なり、取引値も頻繁に動く。総じて全般的に高く、例えばキュウリはなんと5割方、ナスやキャベツなども2割前後値上がりしている。東京市場では、主食のコメも西日本を中心にしら穂イモチの多発から今年の新米の値上げは避けられそうにない。モモなども台風被害で高止まりしており、農林水産省も今月末までは続くだろうと予想。県内の産直所やスーパーも高値傾向は変わらず、代表的夏野菜14種のうち9種が台風、大雨前に比べて高値で推移しているという。
 
▼ところで、キュウリと言えば身の災いを封じ込める食べ物としても重宝されている。岩瀬キュウリで知られる全国有数のキュウリの産地・須賀川市(福島県)には「きうり天王祭」という変わった祭礼がある。仮本殿に2本のキュウリを供え、祈とうを受けた1本を頂くというものだ。そうすれば一年間は無病息災で過ごせるという。京都・西賀茂で土用の丑の日に執り行われる「きゅうり封じ」は有名。山伏のお払いを受けたキュウリを奉納すれば災いが消えるという。活性酸素の働きを抑制する作用があり、ガンを防ぐ効果があるとされるキュウリだが、福島を四季を通した一大産地にしてはどうだろうか。【天下泰平】
                   (2014・8・18)

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