東日本国際大、いわき短大は１１日、文学博士で仏教学者の末木文美士（すえき・ふみひこ）さんを迎えた公開講座をいわき市の産業交流館ラトブで開いた。

　末木さんは東大名誉教授で国際日本文化研究センター教授。「日本人の災害観～東日本大震災と向き合う日本人の心～」と題して講演した。「被災地を離れたところでの観点」と前置きした上で、東日本大震災の特殊性、自然観の類型、日本人の災害観の３点に絞って１時間４０分話した。

　大震災に関しては「複合性と規模の巨大さや持続性、先の見えなさ」があり、「今後さらに大規模で起こりうる可能性も含め、被災地だけの問題に限られない」として、その特殊性を示した。天災と人災は区別できるのかという常識的な災害観への疑問、総合的な視点が欠如した近代科学の問題点、社会科学・人間科学も含めた総合性の必要を説いた。

歴史的には、試練としての災害を説く一神教と対比し、「顕」（現実性）と「冥」（関係せざるを得ない他社性）に基づく世界観の再考も促した。

東日本大震災関連企画講演シリーズ第２弾とし開き、市民約６０人が聴講した。