いわき市出身の実業家で、「東洋の製薬王」と言われた星一（ほし・はじめ＝１８７３～１９５１年）の波乱万丈の人生を紹介した企画展が、２月１４日までいわき市勿来関文学歴史館で開かれている。

　星一の伝記は、長男の作家星新一の小説「明治・父・アメリカ」「人民は弱し 官吏は強し」などで残されている。

星は単身アメリカに渡り、苦学してコロンビア大学に入学。アメリカで野口英世と交友し、のちに元勲伊藤博文や後藤新平、新渡戸稲造らから努力と才能を認められた。何事も「親切第一」をモットーとし、正義感の強い人物として知られた星だが、同時に個性豊かで才気あふれる人物でもあった。新聞を発行し、ジャーナリストや翻訳家で活躍したほか、後年は衆参両議員を務めた。

今展は、政治家であり、実業家でもある星を、星製薬の倒産事件を軸に紹介している。

倒産事件の資料「裁判所発給」や反対、賛成派それぞれの陳述書、直筆の「親切第一」（額装、色紙）、「家庭医書」（１９２２年、星製薬発行）、星製薬の看板「親切第一・くすりはホシ」、それに写真パネルなど約３０点を展示。この中には、苦労に満ちたアメリカ時代の野口英世との交友を紹介したパネル、星製薬の商品券、証書、債券なども展示している。

開館時間は午前９時～午後５時。休館日は１月１日（日）、１８日（水）。企画展のほか、常設展も開いている。観覧料は一般３２０円、中学・高校・大学生２１０円、小学生１６０円。同市在住の６５歳以上、障がい者手帳・療育手帳を持参の人は無料。問い合わせは、いわき市勿来関文学歴史館（電話0246-65-6166）へ。