人道的、かつ緊急性を要する判断から安倍政権は武器輸出に踏み切った。武器輸出を基本的に禁じている「三原則」（共産圏諸国向け、国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向け、国際紛争の当事国かそのおそれのある国向けの場合）を容易に破り、PKO(国連平和維持活動)で南スーダンに駐留する韓国軍にまるで一足早いクリスマスプレゼントのように銃弾1万発を提供することになった。

▼武器輸出三原則は、1967年に佐藤内閣で提議され、76年には三木内閣がこれ以外の国への輸出も原則禁じた。ところが2011年に野田内閣が平和・人道目的などによる例外規定を設けて大幅に緩和、事実上の武器輸出を認めた。今回の安倍内閣の判断はそれにならったものだと考えるが、対米、隣国関係など国際的立場という別の思惑も絡みながらの間隙を縫った行為としか思えない。

▼確かに武器輸出三原則は、政府による武器輸出規制、運用面の原則である。明文化はされているものの、政令運用基準にとどまり、法律では規定されていない。だからこそ、この問題は議論が継続されており、拙速感は否めない。まさに危険極まりない独断的な行為である。安倍首相はいつの時代の日本を取り戻そうとしているのか、理解に苦しむ。

▼事故の検証さえも済んでいない福島原発を置き去りにし、再稼働に方向転換、さらに海外への原発を売り込み、国内で新増設を諮るような行為は大多数の国民を敵と見なしているに等しい。国民を黙らせ、特定秘密保護法案で封じ込めようとしている暴挙である。決して絵空事ではなく、治安維持法、戒厳令へ歩む道としか思えない。昨今はデフレからリフレで沸きかえっているようだが、時代の閉塞感は否めない。【笑止千万】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013・12・25）