日本計画行政学会主催の第5回計画行政復興フォーラム「災害復興と福島問題」10月13日、郡山市のビッグアイで開かれ、現地関係者との情報交流を通し復興の道筋を考えた。
　細野助博・日本計画行政学会専務理事（中央大総合政策学部教授）があいさつ、藤本典嗣福島大共生システム理工学類准教授が趣旨説明した。
　品川萬里郡山市長、大西隆日本計画行政学会長（日本学術会議会長）、真田哲也福島大経済経営学類長、鈴木浩福島大名誉教授の4人が講演、地元識者を代表し星亮一NPO法人フクシマ未来戦略研究所理事長（作家）、 大槻順一郡山商工会議所顧問、小山良太福島大経済経営学類准教授が現状を報告した。
　品川氏は「復興における郡山市の取り組み」と題し、コンパクトシティー、高齢者福祉のプラチナシティーや、従来の行政区域を超えた取り組みへの移行を強調した。
　大西氏は「福島の復興を考える－『人』の復興か、『地』の復興か」をテーマに津波、原発問題などを取り上げた。「（福島県内に住むか、住まないか）それぞれの選択をした人を支援する仕組みが、福島の復興には今後必要になってくる」と述べた。
　真田氏は「地域復興への福島大学の取り組みと今後の課題」で2つを挙げた。「当面する諸課題と、長い目で人材育成に取り組むことの2つが重点になる。その上で高等教育の機能を高める必要がある」とした。
　鈴木氏は「福島第一原発事故と復興への課題」として、「従来の市町村の形態維持が難しくなる。また、（幾多の問題に）自治体が判断するのは難しい」と指摘、広域的枠組みで判断することが必要との認識を示した。
　星氏は「脱フクシマ論からみた福島の将来」をテーマに、総合大学的な大学院大学や農学部の設置を求めた。
　大槻氏は「郡山は何をすべきか」として、実の伴った音楽都市の実現や50万都市の将来像を提案した。
　小山氏は「福島の食と農の再生に向けて」と題して報告。「今のフクシマを世界の科学者が注目している。そうした中にあって、研究機関の拠点が現地にない」と苦言を呈し、環境農学系の大学や研究機関の必要性を訴えた。
　パネルディスカッション・総合討議では、細野氏をコーディネーターに鈴木、真田、星、大槻、小山の5人がパネラーを務め、福島復興に向けて熱く意見を交わした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

　日本計画行政学会は、東日本大震災復旧・復興支援特別委員会を設け、研究チームや学生研究助成などを通して復旧復興活動を支援している。
 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【写真：（左上から右下へ）フォーラムのパネルディスカッション、品川市長、大西会長、真田氏、鈴木氏、星氏、大槻氏、小山氏】