本宮町（現本宮市）で1956（昭和31）年から始まった「本宮方式映画教室」運動を次の世代に残そうという、映画上映会「カナリヤ映画祭」が24日、同市のサンライズもとみやで開幕した。25日まで。
　太陽族やエログロなど当時の青少年に有害とされる映画に対し、優れた映画を育てようと始まったお母さんたちの運動だが、その中核となったのが65年製作の映画「こころの山脈」。
　映画祭では、「こころの山脈」や、もとみや青年会議所が中心となり制作した「秋桜（コスモス）」など7作品が上映。
　会場には、運動の中心となった「青いえんぴつの会」の本田文子さんが収蔵していた台本や、当時の新聞のスクラップ、スナップ写真などが展示されている。
　映画祭のタイトル「カナリヤ」は、「こころの山脈」の主人公のセリフにちなんでつけた。

　本宮方式映画教室は、57年から64年までに168本の映画が上映され、児童、生徒や一般町民らが鑑賞した。こうした中で65年、本宮方式映画製作の会が近代映画協会の協力を得て、「こころの山脈」が製作された。
　本宮町に赴任してきた教師と、子どもたち心温まる交流を描いた作品は、山岡久乃さん、宇野重吉さん、吉行和子さんらとともに、生徒役として本宮小の児童も出演。
　町民が寄付金を募って資金を調達、完成にこぎつけた。地元を舞台とした映画を作ろうという画期的な手法は「本宮方式」と呼ばれるようになり、全国的な話題を集めた。