盆の墓参りを済ませた先週末、気ままなドライブを兼ねて福島市から会津若松市方面へと足を延ばした。この春の桜見物以来、2度目の会津観光である。大河ドラマ「八重の桜」の相乗効果がどれほどのものか、気にもなっていた。やはり前評判通り、観光客の入り込みは春に続いてすさまじかった。この中には帰省客もいるだろうが、観光で訪れた県外ナンバーのマイカーが目立ち、どこもかしこも名所旧跡はあふれんばかりの人出だった。

▼会津に向う途中、郡山市の奥座敷・磐梯熱海温泉街にも立ち寄った。こちらは宿泊客が引いたせいもあるだろうが、旅館、ホテルの駐車場はどこもガラガラ。レストラン、食堂などの駐車場も閑散としていた。以前、地元の観光協会の役員から聞かされた話を思い出した。「高速道の開通で、観光客が会津や新潟まで足を延ばすようになった…」。磐越道の全線開通により、逆に磐梯熱海温泉街が通過点になってしまったことを嘆いていた。

▼いわき・新潟を結ぶ磐越道の全線開通を機に、中間地点にあたる郡山市の磐梯熱海温泉街では1998（平成10）年、いわき湯本温泉、新潟・月岡温泉とともに「三湯紀行」誘客作戦に乗り出したが、取り組みは一過性に終わり、その後はサッパリ。会津の観光に水を向けるわけではないが、大河ドラマに頼った観光ブームはこれでおしまいと考えた方がいい。地元関係者もあの手この手で誘客や、魅力あるマチの活性に知恵を絞っていると思うが。

▼広い県土の福島県は、浜通り、中通り、会津の3地方にそれぞれ色合いの異なった魅力ある観光資源がある。2015年には福島県の復興を観光面で支援する「福島ディスティネーションキャンペーン」が繰り広げられる。これも一過性に終わらせない取り組みができるかどうか。「流行（はやり）病」（大河ドラマ病・単品でまちおこし・一発イベント）にならない持続的な取り組みを考えていく必要がある。【天下泰平】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013・8・19）