「東北の夏」が祭りにあわせたようにようやくめぐって来た。関東以西では早々と梅雨明け宣言があり、こちらは東北のうっとうしい梅雨空とは対照的に、雨乞いをしたくなりそうなカンカン照り。各地で記録的猛暑が続き、西日本を中心に熱中症も相次いだ。ほどよい天気とはなかなかいかぬわけで、自然現象と、ここ福島の原発事故は人智を超えていることだけは確かである。

▼気圧配置図では、福島県内は4日から真夏の太陽が顔をのぞかせる配置だ。いもち病や、生育の良くない果物に悩んでいる農家にとっては待ち遠しかった夏到来だが、猛暑が続けば作物の水不足も心配になる。それか、これかの択一となるとやはり難しいものである。「五風十雨」ということわざがある。5日に一度風が吹き、10日に一度は雨が降る―となるように、まずは豊作を祈るしかない。

▼夏はやはり元気な子どもたちの歓声がほしい。夏休みもそろそろ折り返す中で、福島県内の海水浴場や湖水浴場、保養地などは本格的夏の到来とともに活気を取り戻すのか。連日、報道されている放射能汚染水の海への流出を考えると、海水浴などとてもそんな気にはなれない。東京電力の皆さんはこの夏、どんなバケーションを計画されるか。

▼それにしても、東北、北陸地方の3日の梅雨明け宣言。秋に追い越されずにすんだのはせめてもの救いだった。暦の上では、7日は立秋。ここからは夏とは言え、残暑だ。やっとのことでみちのくに到達した盛夏だけに、短い夏を惜しんで祭りや納涼花火大会、盆踊りと楽しみたいものである。しばし、安寧な福島の夏を願って。【天下泰平】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2013・8・4）