外交交渉や企業情報など、国際社会でインテリジェンスに劣る日本だが、こうした背景に「海に囲まれて、他国と接しない島国の風土がある」とはよく指摘される。「長いものには巻かれろ」とばかりに、無関心を装う弊習もある。そうした素地があるから、政治家の二枚舌、企業家のコンプライアンス欠如が蔓延し、国を覆っているのかもしれない。

▼それにしても、わが国を牽引してきた大企業であり、経団連会長を幾人も輩出してきた東京電力の企業体質はひどい。原発利権を追跡する検証報道を始めた朝日新聞（7月28日付）にこんなくだりの記事があった。「原発を立地する時、東電にはコンプライアンスのコの字もない」（元東電役員の話）。記事は企業犯罪をも容認しかねない同社の隠ぺい体質を明らかにしていた。

▼福島第一原発から漏出したとされる高濃度の汚染地下水が海に流出していた問題といい、地下道にたまった水から1㍑当たり23億5千万ベクレルもの放射性セシウムが検出された問題といい、耳をふさぎたくなるような事実が次から次へと明るみに出る。以前から懸念されていた汚染地下水の海洋流出では、「（記者発表の）3日前に承知していた」（広瀬社長）というからあきれるしかない。

▼企業の上層部なりトップが平気で嘘八百を並べるわけだから、下で働く社員はたまったものではない。「安全が確認された原発は再稼働していく」などとのたまう、どこぞの首相も一蓮托生、同じ穴のムジナかもしれない。この国が、国民の幸せ、社員の幸せを蔑（ないがしろ）にする有象無象（うぞうむぞう）の輩によって支配されていると思うと、やるせなくなる。【天下泰平】
                                                                                         （2013・7・29）