東北初のフルーツアート専門校、日本フルーツアートデザイナー協会認定校福島いわき校が5月、いわき市に開校した。7月から講習が始まり、早ければ９月には資格取得者が誕生する予定だ。
　野木真奈美校長は「フルーツアートプロフェッショナルの育成はもちろん、何よりフルーツを楽しむことで福島の皆さんが笑顔を取り戻して元気になってもらいたい」と、同校設立の経緯を語った。
　フルーツアートは同協会が３年前に発足させた専門分野で、これまでのフルーツを食べやすくカットする技術に加え、アートの要素も加えた。
　普段は捨ててしまう葉や皮も巧みに利用し、美しくデコレーション。鑑賞用ではなく、あくまで食べるのを目的にして作られる。
　味は良いが形や色の悪い、いわゆるB級品も、美しく飾り付ける事で見栄えが良くなるため、果物の消費拡大にもつながるという。
　現在、協会が認定している資格は、食品を扱うプロとしての衛生管理やフルーツアートを用いたもてなしの心と技術を修得する「フルーツアートプロフェッショナル」と、生活の中にフルーツを取り入れて、楽しく有効な摂取方法をアドバイスする「フルーツファンアドバイザー」の2つ。
　今夏には、フルー ツアートの理念に基づく新しいデザインを考案するための資格「フルーツアートデザイナー」も新たに加わる。
　これらの資格を有する専門家は全国で約170人。県内では野木さんも含めて3人目。
　レストランやブライダル関連事業の従業員、バーテンダー、果樹園経営者など様々な職種でその技術を生かしている。
　野木さんが資格取得を考えたのは、東日本大震災と原発事故がきっかけだったという。
　当時、いわき市の小名浜東小でPTA役員を務めていた野木さんは、放射能の影響で子どもたちの屋外活動が制限され、卒業アルバムに載せる写真がないという声を耳にした。
　そこで、協会の代表で東京本校の校長を務める、実妹の高梨由美さんに相談したところ、「食育も兼ねて子どもたちにフルーツアートを体験させてみたらどうだろうか」ということになった。
　震災から2カ月後、学校の家庭科室で体験教室が行われた。
　参加した野木さんは、ナイフ1本でフルーツが美しい作品に変わっていく様子と、それを見つめる子どもたちの真剣な表情に感動を受けたという。
　野木さんは、「子どもが輝くような笑顔でオレンジを切る姿を見て、フルーツアートの素晴らしさを初めて痛感した」と、当時の様子を語った。
　野木さんはその後、東京本校で講習を受け、昨年４月フルーツアートプロフェッショナルの資格を取得。
　以来、協会主催のイベントでフルーツアートの普及に努める一方、被災地の子どもを対象にしたボランティア活動でも、その技術を生かして活躍している。
　福島いわき校の開校について、野木さんは「風評被害により、フルーツ王国福島の生産者や提供者、消費者の苦しみを目の当たりにし、私に何ができるかと考えた時、フルーツアートの力で少しでも福島の活性化のお手伝いができればと思い、開校とその代表を務めることを誓った」と、故郷の復興への意気込みを語った。
　同校では今後、他校にはないジュニアコースやシニアコースを設け、被災地ならではの取り組みも考慮しているという。
　詳しくは、http://fruit-art.com/　http://ameblo.jp/fruit-art-iwaki/











 © 2013 Japan Fruit-Art Designers Association.
（写真提供：一般社団法人 日本フルーツアートデザイナー協会）