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コラム・筆は一本也

「26年後のバブル再来」

マネーゲームに熱狂し、日本経済の崩壊を招いたバブル景気は1986(昭和61)年12月に始まった。91(平成3)年2月までの4年と約2カ月間、日本で起こった社会現象でもある。その後、米欧発のリーマンショックなどもあり、日本はトンネルの出口が見えないデフレ不況に陥った。世界経済の足を引っ張りかねない存在にもなり、世界の信用を大きく失墜させた。
 
▼バブル崩壊から22年。日本経済に根を下ろしたデフレからの脱却を目指し、再登場した安倍政権の経済政策「アベノミクス」だが、金融緩和や財政出動により株価は上がり、円安では輸出産業が一気に元気を取り戻した。良いこと尽くめの、まさに安倍政権「わが世の春」である。しかし、そのような熱く狂ったような状態は長くは続かない。
 
▼朝日新聞の「天声人語」(3月24日付)にこんなくだりがあった。「米国の経済学者ガルブレイスは、資本主義は暴走を繰り返すと警告した。……20年もすれば熱狂が装いも新たに再来する」。歴史は繰り返す。それもたった20数年を経て、似たような情景である。アベノミクスでは成長戦略もうたっている。内実は再生可能エネルギーへのシフトではなく、環太平洋経済連携協定(TPP)のようだが。
 
▼再生可能エネと言えば、近ごろはトーンダウンし、さっぱりである。太陽光、風力、地熱、小水力などそれぞれに規制の網がかかり、ひところの勢いが失せてしまった。日本の社会構造を変え、世界に打って出るのはこの分野の成長がまず第一義だろう。ともかく、この分野において日本は先進国でないことは確かだ。原発再稼働~新増設を目論んでいるのが現政権の本音だから、当然でもあるが。
 
▼それにしても安倍首相の福島県入りは、就任以来2回目。震災、津波、原発事故で多大な被害を受けている本県に寄り添う姿勢をアピールする狙いだろうが、あれもこれもの足早の視察は軽薄としか映らない。挙句にはカブの栽培地視察。カブを手にするさまは株上がりの演出だろうが、被災者の感情を逆なでする所作としか思えない。本県入りの最大の狙いは、原発を今後どうしていくかの膝詰めの議論である。【天下無双】
                    (2013・3・26)
 
 

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