再生可能エネルギーの研究開発拠点として、来年4月に福島県郡山市に開所する産業技術総合研究所（産総研、茨城県つくば市）の施設概要と具体的取り組み内容が固まった。
　福島県を再生可能エネルギー産業集積の先駆けの地とする今回の研究開発拠点。
　郡山市の新研究拠点で取り組む技術開発は、①再生可能エネルギーネットワーク実証②エネルギー貯蔵・利用技術③風力発電の高度化技術④次世代太陽電池モジュール量産技術⑤地球熱の適正利用技術の5分野。
　次世代太陽光の開発は、高効率・低コストの超薄型結晶シリコンセルを用いた高性能モジュールの技術開発に取り組む。高付加価値の新しいプロセス技術の開発や、太陽電池の新しいアプリケーション開拓、中小企業の支援を目指す。
　風力発電は国際的に注目される「ナセル搭載LIDER」技術で高効率化、長寿化を図る一方、アセスメント手法の高度化を進める。
　地球熱における地熱資源の利用に関しては温泉と地熱発電所の共生を目指す。地中熱利用システムの高度化も進め、日本大工学部・福島イノベーション戦略推進地域事業との連携プロジェクトによる地域特性を生かした地中熱エネルギー利用に力を注ぐ。
　エネルギー貯蔵・利用技術では水素キャリアから効率的に水素を取り出し、熱と電気をつくる高度利用を促進する。純水素エネルギーシステムにより、水素に変換したエネルギーの安全な貯蔵と使用も進める。
　こうした革新的事業を進める上で、産総研は自治体、大学や企業などとの連携を強める。文科省の地域イノベーション戦略支援プログラム事業により福島県内4大学（福島大、会津大、日大工学部、いわき明星大）と県ハイテクプラザ、同省の革新的太陽光の研究開発によりJST（東京工業大など）、テストフィールド共同研究や太陽電池コンソーシアムでは企業との連携を構築。国際連携も積極的に進める。
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　再生可能エネルギーの研究内容、開発状況を紹介する「再生可能エネルギーシンポジウム」が3月12日、郡山市の郡山ユラックス熱海で開かれ、基調講演とともに具体的な取り組み内容が示された。約300人が参加した。
経産省資源エネルギー庁・新エネルギー対策課の村上敬亮課長が「再生可能エネルギーの現状と課題」、日大工学部の柿崎隆夫教授が、「日本大学工学部における再生可能エネルギー研究と福島新拠点への期待」、東京工業大大学院の小長井誠教授が「文部科学省・革新的エネルギー研究開発拠点形成事業『FUTURE－PV Innovation』－福島からナノワイヤー太陽電池を世界に発信－」、産総研の瀬戸政宏理事が「産総研が進めるオープンイノベーション」についてそれぞれ講演した。
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　産総研は来年4月、郡山市待池台の郡山西部第二工業団地に福島再生可能エネルギー研究開発拠点を開設し、再生可能エネルギーネットワーク実証、次世代太陽光モジュール量産技術評価・標準化などの技術開発に取り組む。
敷地面積55000平方㍍。研究本館（4階）をはじめ、実験別棟（一部2階）、地中熱利用実験場（屋外）、実証実験区画（同）を建設