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コラム・筆は一本也

「相も変らぬ報道」

東京電力福島第一原発の爆発事故を機に、ドイツは2022年までに脱原発することを決めた。ドイツの総電力に占める再生可能エネルギーの割合は約22%。そうした中、石原環境相は20年には洋上風力による発電量を現在の約40倍に相当する100万㌔㍗以上にすることを明らかにした。その時点での原発の割合にはついては触れずじまいだったようだが…。それでもひとつの前進としよう。
 
▼風力発電といえば、福島県沖合(いわき沖)にできる浮体式洋上風力発電が有名だ。その福島県では、40年までに県内のエネルギー需要の100%以上に相当する量のエネルギーを再生可能エネルギーで生み出そうとしている。そうした構想の中軸になるのが、浮体式洋上風力発電の実証実験だ。東京大学と10社が参画し、13年度までに2000㌔㍗の洋上風力発電設備1基を建設。15年度までには世界最大級の7000㌔㍗風車搭載の発電設備2基を建設し、事業化を見据えた検証に入るという。
 
▼東日本大震災から2年が経った昨日。新聞の特集記事やテレビの特別番組は、風化を防ぐ上では何らかの効果をもたらしたとは思うが、それにしても除染作業、工程の遅れなどを扱った内容のものがあまりにも少なかったようだ。新聞もテレビも、いまだ残る災害のつめ跡や、被災者の声を拾ったりする表層的な内容のものばかり。被災者にマイクを向ければ、何か特別なことでも聞けると思っているのだろうか。そのくせ、ありきたりのことで終わらせている。
 
▼がっかりしたのは、脱原発や再生可能エネルギーを扱う紙面や番組が極端に少なかったことだ。福島第一原発の爆発事故による避難者は福島県だけで約16万人と、県人口の約1割を占める。そうした先の見えない厳しい現実や、除染の在り方、地震大国の小国における常軌を逸した原発建設(54基)、フクシマから見る世界の潮流などなど。こうした現状を掘り下げて報道すべきだった。一部の関係者だけの紙面、番組審査会ではなく、幅広い層からの意見を聞くべきと思うが。【天下泰平】
                            (2013・3・12)

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